【実話】都庁の美人部長が提示した無担保融資。政治家のコネを無駄にした私の慙愧

借金返済の記録

東京都から、無担保で2千万円の融資を受けるチャンスがあった。だが、その融資話を反故にしてしまったのだ。

だがこのことは、かなり後になって強い後悔となった。
2千万円をフイにしてしまったことだけではない。

話を持ち込んだブローカーと、東京都に電話してくれた国会議員に礼金を払ってやれなかったことが悔やまれたのだ。

「所定の書類を提出してくだされば、2週間以内に2千万円の融資は実行されます。」
都庁の窓口で美人部長はそう言った。

書類はそろっていたが、提出しなかったのだ。
理由は「2千万円では、まったく足りない」と思ったからだった。

当時の異常な金銭感覚は、今振り返っても恥ずかしい。
「貧すれば鈍する」。そんな情けない奴の典型みたいな心境に陥っていたのだ。

東京都の窓口で2千万円の無担保融資が簡単に決まってしまった驚きの実話

国道16号線沿いの土地に関する詐欺話に引っ掛かり、3億円の穴埋めに奔走していた時のことだった。

2ヶ月ほど前に知り合ったブローカーの男が、夕方遅く会社へ顔を見せた。
「社長、私の知っている政治家の先生を頼ってみましょう」

私は何人かの国会議員を紹介されたことがある。
だが、「何で政治家は、こんなに偉そうなの」と思わせる者が多いのに閉口していた。

「私の知っている先生は与党の政治家ではない苦労人だから、威張るような方ではありません。
一度、会うだけあってみましょうよ」

男はその場から国会議員に電話して、明日の午後に議員会館を訪ねるアポを取った。
会ってみると、男の言う通りの人柄だった。

東京都議から国会議員に転出して、まだ一期目だという。

柔らかい物腰で「いま、都庁の融資担当者に電話してみましょうか」という。

受話器を置いて言った。
「明後日の午後一番、13時に窓口へ行ってください」

指定された日時にブローカーの男と二人で、都庁の窓口を訪ねた。
窓口で対応してくれた五十絡みの女が差し出した名刺には、「部長」の肩書がある。

「いきなり部長が対応してくれるとは、さすが国会議員の紹介だけある」
そう感心せずにはいられなかった。

部長は最初から実に好意的だった。
「都議をなさっていたS先生のご紹介ですから、できる限りのご対応はとらせていただきます」

説明を求められるままに、事業内容や資金の使い道などを答えた。
彼女は、手元に用意してあった書類を渡しながらいう。

「この書類に署名捺印していただき、御社の決算書3期分と一緒に提出してください。赤字でも全くかまいません。」

私が礼を言うと彼女はやんわりと制した。

「融資はまだ決定したわけではありません。必要書類がそろった時点で最終審査をします。お急ぎでしょうから、審査が通れば2週間ほどで融資は実行されます。」

そして、もう一度言った。
「決算が赤字でも全く問題ありませんから」

私たちは厚くお礼を言って窓口を辞した。
ブローカーの男がエレベーターを待っている間にポツリと漏らす。

「あの女部長、美人ですね。感じもいいし」
私は軽くうなずいた。

エレベーターを降りて都庁の外に出ると、男はこらえきれない様子でまくしたてる。
「社長、決まりですよ、この融資は。あの口ぶりじゃ、形式だけ整えば2千万円出すってことです。」

「そんな感じだね」
私は、そう言いながらも決して心は弾まなかった。

結局、私は東京都に書類を提出せず、2千万円の無担保融資を受けなかったのだ。
理由は簡単だ。

2千万円の金額では、3億円の穴埋めとして、あまりにも少額だった。
もう一桁上の2億円はどうしても欲しかったのだ。

だが、この判断は間違っていた。
焦りと異常な金銭感覚が生んだ判断ミスと言えよう。

何年かして気づくのだったが、まさに「後の祭り」だった。
あの、ブローカーは生活に困っていた。

2千万円から何某かのお礼をしたら、きっと助かったことだろう。
野党の議員先生にもお礼ができたのに。

利権などとは、縁遠い人だとの印象が強く残っている。
決して偉ぶることのない、実に腰の低い国会議員だった。

都議会議員時代から人望はあったのだろう。
窓口で対応してくれた部長の話からも、そのことは窺い知れた。

さらに彼女自身もとても感じの良い美人だった。
今にして思えば、キャリアウーマンの鏡ともいえる存在だったろう。

そんな人たちの努力や好意を無にしてしまったのだ。

あの簡単な審査など、議員からの紹介による特別扱いは問題だと言われたら反論はできない。
しかし、バブル崩壊に苦しむ中小企業救済の緊急融資の意味合いもあったのだ。

最近のコロナ緊急融資みたいなものだ。
あそこは、やはり融資を受けるべきだったろう。

何よりも2千万円あれば、自分も助かったのだ。
「貧すれば鈍する」のだ。

やはり、目先の事、自分の都合ばかり優先するのは危うい。
どんな窮地に置かれても、他人のことを顧みる心を失ってはならないのだ。

他人を顧みる心がなければ、最終的に自分が損を被るのだ。

冒頭の『国道16号線沿いの土地に関する詐欺話に引っ掛かった』話について、詳しくは下記からどうぞ!

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